マッカートニーとマッカートニーⅡ

なぜこの2枚なのだろう?
アーカイブとして、自他共に認める『バンド・オン・ザ・ラン』が第一弾として選ばれたのは万人が納得すると思われる。
しかし、第2弾がなぜポールファンにとっては『踏み絵』的なこの2枚なのか、正直分からない。
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『McCartney』も『McCartneyⅡ』も共通項がたくさんある。
①1970年発表というのと、1980年発表であって、年代の変わり目に発表されている。
②2枚とも全て、ポールがほぼワンマンで制作していて、完全なソロである
 (一部リンダがコーラスも担当、というのも同じ)
③お遊び的要素、自分のスタジオでのレコーディングテスト的な要素がある。
④そして、2枚とも『バンド崩壊』寸前での発表である。
 (しかし、実際にはまだ解散していない時点での発表である)
思いつくところは、もっとある。しかし、一番強い要素理由は、④ではないかと思われる。

『McCARTNEY』はよく知られているように、ビートルズが存続中の1970年4月に発表された。
発表の1週間前の4月10日にはポール自身がビートルズ脱退を宣言しているので、勿論だけれど、その前に制作されている。
前にも書いたけれど、世間の期待は大きかった。あのビートルズのポール初のソロアルバムであって、世間は固唾を飲んで見守った。
しかし、蓋を開けてみると、「あのビートルズのポールマッカートニー」とは思えない、ラフでシンプルで、未完成なアルバムであった。
確かに、聞いていると、ビートルズから完全に孤立して、気の毒になってしまうほど、ラフであって、当時一般のファンが聞いたら、ポールはどうしてしまったのだろう?という出来である、正直。
しかし、ポールはこのアルバムを愛した。そして、ポールの熱心なファンも、このラフなアルバムの中に、ポールの光るところを見つけてビートルズがいなくなった現実に希望を持とうとした。
結局、このアルバムは売れたけれど、世間からは大批判を浴びて、今では信じられないけれど、ポールは1人になったら何も出来ない、と言うくらいの評価になった。
しかし、ポール自身、このアルバムの中にこれから自身が1人でやっていくに当っての音を見つけたのであって、それに気づいたファンも世の中にはたくさんいた。
ポールが好き、嫌い、はこのアルバムの評価で決まると思われる。
ここから、ポールはもう一度再スタートを切って、ここからまた自分の曲を磨き上げていって、再度トップに登りつめる事になる。
今回初めて見る、当時の写真がたくさん入っている。それが美しい。
見ていてむさ苦しいくらい、髭面で不健康そうなポールがたくさん写っているけれど、とにかく、安らぎを求めていたポールの当時の心境が手に取るように分かる、思わず何回も写真を見直してしまった。
2枚ともに共通して言えることだけれど、もう少し、気合いを入れて本気でアレンジしたり、作りこめば、世紀の名曲になり得るものがたくさんあるのに、あえてそれをしないポールというのは、本当に天才なのだな。名曲だってことに気がついていないのかもしれないな。
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10年後に発表された『McCARTNEYⅡ』も完全にワンマンレコーディングされたものである。
しかし10年前の『McCARTNEY』と違うのは、ウィングスというバンドがまだまだ現役であって、一旦お休みしてソロ・アルバムを発表した、と思われていたことだろう。
これはポール特有のお遊びであって、次はちゃんとウィングスのニューアルバムが出る、と世界中誰もが信じて疑わなかった。しかし、結局、このアルバム以降、ウィングスは自然消滅してしまう。
このアルバムが出たあとに、あの悪夢の12月8日がやってきたことが大きい。
しかし、今回、びっくりしたのは、未発表のフォトの以下の写真があったことである。
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ちゃんと『バク・トゥ・ジ・エッグ』当時の、小生が一番好きなウィングスのメンバーの写真が、このアルバムのポールと同じショットで撮影されているのだ。
と言うことは、もしかして、このアルバムの制作に入った当初は、ウィングスのアルバムとして作り始めていたのではないか?と思った。
ポールは元々『プライベート録音であって、発表するつもりは無かった』と語っていたけれど、本当のところどうなのだろう?
ポール版YMO、といわれるくらい、シンセを多用した、お遊び要素が強いのだけれど、結局、途中でソロアルバムに変更した、ということなのかな?
お遊びと言えども、しかし、しかし、やっぱり名曲が多いのだな、これが。

『ワン・オブ・ジーズ・デイズ』なんぞ、なぜもっとしっかりアレンジしなかった、えっ!、しっかりしろ、ポール!と、ポールに実際に会う事があれば、その辺丁寧に真摯にぺこぺこしながら質問して聞いてみたい。
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それぞれ、CD2枚+DVD、CD3枚+DVDという仕様なので、じっくりボーナスCDも聞き込みたいと思っている。

一般の評価は低いのだけれど、おそらく2枚ともポール自身愛着があるから、今回第二弾のアーカイブにあればれたのだろうな、きっと。
僕もスキです、この2枚。
ああ、ポールちゃん、好きよ。
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by hirowilbury | 2011-06-14 23:27 | ビートルズ