Robow 2nd「約束の日」

久々の更新になってしまったのだけれど、これまで全く何もしていなかったかというと、そんなことはなくて、今迄通り毎日レコードをちゃんと聴いて、お酒をちゃんと飲んで、ポールもちゃんと観に行って、ライヴ活動もちゃんとやってきたので、前とは変わっていないはずである。Facebookもほぼ毎日更新してきたし、ちゃんと電車にのって通勤もして。
しかし、前回の更新がRobowの1stアルバムだったことを考えると、もう2年以上経っているので、やっぱり忙しかったのだろう。
そのRobowの新作セカンドアルバムが発表された。正にファンからすると待ちに待った、待望の一枚である。
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例えば、小生の好きなアルバムにニール・ヤングが1972年に出した「ハーベスト」と、1992年に出した「ハーヴェスト・ムーン」というアルバムがある。もちろん2枚のアルバムの間には20年の間が空いていて、その間、何枚もニール・ヤングの優れたレコードを出している。
ニール・ヤングには20年後に「ハーヴェスト」の続編を作らなければならない理由があったのだろう。ニールが、「ハーベスト」の中で歌ったウェイトレスをしていた女性に、20年後再会して、その落とし前をつける必要があって、彼はしっかりそれを「ハーヴェスト・ムーン」をアンサーアルバムにて、自分の答えを出したのである。

↓ニール・ヤングの名作。1972年発表「Harvest」と20年後に出た「Harvest Moon」
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今回Robowの2年半ぶりの新作セカンドアルバムを聴いて、ふと思い浮かんだのが上記の2枚である。
ニールの20年とは違って、約2年半ぶりの「続編」なのだけれど、ちゃんと1stアルバムへの落とし前がついていて、アンサーになっていて、ニヤリとしてしまう。

前にも書いたけれど、大体、バンドというのは1stアルバムを作るときには手持ちの曲がどっさりとあって、しかもずっとライヴで演奏してきているから、演奏は手慣れていて、録音もスムーズに行く。初めてだから、バンドメンバーが録音の技術に対して未熟なのは当たり前であって、それでも原石を磨いたダイアモンドのようにキラキラと輝くのが1stアルバムである。
しかし、1stが大いに受けて、高い評価を得ると、次に困るのがセカンドアルバムである。1stで自分達がデビュー前からやってきたそれまでの代表作は出し切ってしまっている。

アルバムを出したからには、できたてほやほやの1stアルバムからライブで演奏する事になる。
次の演奏依頼が舞い込む。アルバムの曲をやる。また次の演奏依頼が舞い込む。アルバムの曲をやる。
そのうちセカンドアルバムの制作の時期がやってきて、打診も舞い込む。

こういう風になって、次のアルバムへの準備が遅れていくのである。
曲をじっくり書く時間もないし、書いてもアレンジを詰める時間もない。
スタジオ代だってバカにならないから、そうそうオチオチと長時間入っていられない。
こうやって、2枚目のアルバムは失敗に終わるバンドが多い。

↓2013.11.24発表の1stアルバム。
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そういう意味では、Robowの新作2ndアルバムは見事、そのジンクスを打ち破っている気がする。
彼らは1stを発表した後も、ちゃんと新曲をライヴでこっそりと練り上げて、アレンジを煮詰めて、完成させていただからだろう、きっと。1stアルバム発表前からライブでは、演奏されてきた曲もある。
ちゃんとアルバムコンセプトを見据えて、先を見据えてレコーディングしてきた結果なのである。
そして冒頭に書いたけれど、今回、ちゃんと1stアルバムへの落とし前をつけている。
なんとなく、1stアルバムへのアンサーソングにも聴こえる。

実は事前に、ご厚意でサンプル盤を試聴させていただいて、まず最初に手に取ってじっくりと眺めたのがジャケットである。
ジャケットには4羽の鳥。水色、緑、紫、紅色の鳥が交互に並んでいて、シンプルに「約束の日 Robow」の文字。前回のジャケットがピアノのチェリー森田氏のコミカルな楽しいジャケットだったので、まずここで予想を裏切られる。

↓ 2016.4.10発表 約2年半ぶりのニューアルバム「約束の日」
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内ジャケットを見ると、美しい風景が影絵の様に描かれていて、そこをジャケットの4羽の鳥が飛んでいる。恐らく水色が誠一郎氏、緑色がチェリー氏、紫色がヨッシー氏、そして紅色がキッチュ氏なんだろうな、きっと。
雲がかかっているのか、晴れているのか、昼間なのか、夕方なのか分からないのだけれど、淡い色彩が美しい。

今回はゲストミュージシャンはなく、純粋に4人での録音である。
しかし、小生が聴いて最初に感じたのは「ロック・バンドとしてのRobow」を強く感じたことである。ゲストミュージシャンの力は借りなくても、もう大丈夫なのだ。
まず、ベースとドラム、リズム隊の音が劇的に変わった。
1stは、誠一郎氏の歌をやさしく支える、といった感じだったのだけれど、今回、ミキシングもロック的だし、アレンジも10曲の収録曲中、キッチュ氏のドラムからスタートする、という曲が多いのが象徴的だと思われる。中にはドラムとベースが絡む楽曲もある。これは1stにはなかった。
いよいよRobowの結束が固まって、目指す音が定まってきた気がする。
全員の出すべき音が固まってきたという事なのだろう。各々のプレイが自信に満ち溢れている。

↓ 内ジャケットの4羽の鳥。恐らくRobowのメンバーを描いたもの。
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アルバムはタイトルソングの「約束の日」からスタートする。
1stもそうだったのだけれど、彼らのアルバム構成は非常にアメリカ的で、まずトップにタイトルソング、アルバムコンセプトを持った曲がやってくる。
鳥が描かれているのだから、以前からライヴで歌われてきた名曲「鳥のうた」がコンセプトかな、とも思ったけれど、おそらく、タイトルソング「約束の日」のイメージがジャケットの4羽の鳥だと思われる。
スタートから1stアルバムからの第2章を見せられているような気がする。
誠一郎氏とチェリー氏の共作「ドアの向こう」での「路傍のちっちゃな花に心奪われ」という歌詞が素晴らしい。全国色々、Robow以外のミュージシャンと接してきたRobowの心情が歌われた渾身の一曲である。

チェリー氏単独作の「涙のブースカ」は、彼なりにポール・マッカートニーへ敬意を払った楽曲、という事になるのだろう。間奏のピアノを聴いて、ニヤリとして、大喜びするのは小生だけではあるまい。
大は小を兼ねる、しかし小さい魚は何を食べているのだろう。
無限に続くのだろうな、と勝手な想像をしてしまう。
「鳥のうた」は、いつものRobow、そして小Robowがいつもライヴで演奏しているアレンジで聴いていてホッとする。
ジャマイカ民謡のメロを拝借した「パラダイス」は前向きな誠一郎節が、周りを明るくする象徴的な一曲。ライヴでは、毎回観客が歌って盛り上がるおなじみの曲である。
「人生相談」は、毎日立ち飲みに通っている小生の事かと思って、ドキッとする。
立ち飲みで相談はしないけれど、ちょっと場末でいい感じ、というのに共感したりする。
「リビドー」は何度かライヴで演奏されていて、彼らにしては少し異質な感じな曲だと思ったけれど、今回ちゃんとRobowの音になっていて、おそらく代表曲の一つになるだろう。
エンディングも決まっている。
「悲しみよ さよなら」もファンにはお馴染みの曲。誠一郎氏のおとぼけでコミカルなヴォーカルが歌詞と美しいメロディが化学反応を起こしていて、懐かしい気分になる。
「大きな木」は70年代の匂いを残す、ウッドストックな感触があって、タイトル通り木のぬくもりを感じる。誠一郎氏お得意の、第三者をみて自分の事をフラッシュバックさせて、それで相手に勇気を与える、という手法であって、これがRobowが支持される一つの要因だと思ったりする。
ラストの「ハルノアメ」はおそらくパーソナルな事を歌った歌のように思える。
1stの「レモンの花」へのアンサーソングにも思える。
たくさんの想いが込められた歌なのに、簡単なコードで明るく元気に軽く歌い流しているところがいい。ラストの口笛がすべてを語っているといってもいいだろう。

↓ 全10曲収録。すでにスタンダートナンバーの風格あり。
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全10曲。更に完成度が上がった名作である。
何度も書いたけれど、1stへの落とし前であり、アンサーアルバムでもある。
「僕の車に乗ってくれないか」と誘われた人物はもしかしたら、数年後に「約束の日」に会うことになり、二日酔いで朝「コーヒー」を飲んだ人物は、前日酒場で「人生相談」をして二日酔いになったのかもしれない。そして前回、悲しみが歌われた曲は今回「悲しみよ さよなら」で洗い流されているのである。

これからRobowはどこに行くのだろうか、と考えてみると、とてつもない大きな木になる可能性がある。そこから枝が生えて、色んな出会いがあるのだろう、きっと。

しかし、インナーの歌詞カード裏面の一羽の鳥はメンバーの誰なのだろう?
四羽からはぐれてしまったのだろうか?
気になる。

とりあえず、ファンは「どうせ急がないから、ゆっくりしばらくRobowを見ていこう。」
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by hirowilbury | 2016-04-10 08:00 | 音楽