デビューアルバムというのは、そのミュージシャンの全てが込められていると言っても言い過ぎではない、と思う。だいたい、メジャーでデビューすることになると、自身がデビュー前から歌ってきた歌なんかが入っていて、感性もダイヤモンドの原石みたいに、ピカピカで輝いている。
自分が歌いたいことを歌にしていて、変に相手を意識していないので、素直で、ミュージシャンの言いたいことがダイレクトに伝わることが多い。
しかし、2作目、3作目となってくると、少し考えてしまうようになって、力が入ってしまって、結局納得の出来なかったレコードを作ってしまう。そして、決して、デビューアルバムで見せることの出来た初々しい姿、というのは二度と見せることが出来ない。
ビートルズも、あれだけ名作を作ってきたのに、解散間近の頃には初心に戻ろうと幻のアルバム「ゲットバック」を作って、しかし、それが失敗に終わった。つまり、「ウィズ・ザ・ビートルズ」、「ラバー・ソウル」「ホワイト・アルバム」「アビイ・ロード」というとんでもない傑作を作ってきた彼らでも、再びデビューアルバムである「プリーズ・プリーズ・ミー」を再度作ることができなかった。そして、解散した。
ドアーズも結局デビューアルバムを越えることが出来ず、燃え尽きてしまった感がある。
彼らの2作目、3作目は世間的には傑作だけれども、しかし、デビュー作の攻撃性、そして「ライト・マイ・ファイアー」、「ブレイク・スルー」は作れなかった。
そのミュージシャンのすべてはデビューアルバムに込められていることが多い。

ロン・セクスミスも、デビューアルバムではピカピカに輝いていた。今でも輝いてはいるけれど、しかし、結局あの奇跡のような「シークレット・ハート」は生まれていない。


ロシアン・レッドのデビューアルバム『フエルテベントゥーラより愛をこめて』は、スペインで生まれた原石のように、輝いている。
本名をルルデス・エルナンデスというのだけれど、グループではなくて、ステージ・ネームであって、いわゆる芸名である。スペインのマドリード生まれで、しかし、スペイン語ではなくて、英語で歌っている。
この辺り、ビジネスの匂いを感じたのだけれど、しかし、最初から英語で歌詞を書いていたらしく、影響を受けたミュージシャンにはニック・ドレイクや、ビートルズの名前も挙げている、正しく育った1985年生まれの22歳である。
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基本的にまだまだ荒削りで、完成もされていなくて、フォーク・シンガーなのだけれど、決してフォーク・ギターだって上手くない。1枚本国ではアルバムを出しているのだけれど、これが世界的なデビューアルバム、ということになるらしい。
テクニックも、器用さもないけれど、ピカピカに輝いている。
そして、彼女自身も、魅力的であって、メリー・ホプキンのような朝に輝く太陽のように美しい。

こういう風に、非常に魅力のあるデビューアルバムを作るミュージシャンに出会える事は少ない。
そして、そういうアルバムに出会えると、非常に嬉しい。

これからも変に背伸びをせずに、このまま歌い続けて欲しい。
以下に、彼女の歌声をリンク張りしておくので、是非聞いていただきたい。
歌声は小生が保証します。

↓ビートルズのカバー「A Day In The Life」(アルバム未収録)
http://www.youtube.com/watch?v=QKlS_p-OaD8&feature=related
↓アルバムからの1stシングル 「The Sun The Tree」/RUSSIAN RED
http://www.youtube.com/watch?v=6oTJmiQ1eRE&feature=related
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by hirowilbury | 2012-02-19 20:51 | 音楽