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Robow 2nd「約束の日」

久々の更新になってしまったのだけれど、これまで全く何もしていなかったかというと、そんなことはなくて、今迄通り毎日レコードをちゃんと聴いて、お酒をちゃんと飲んで、ポールもちゃんと観に行って、ライヴ活動もちゃんとやってきたので、前とは変わっていないはずである。Facebookもほぼ毎日更新してきたし、ちゃんと電車にのって通勤もして。
しかし、前回の更新がRobowの1stアルバムだったことを考えると、もう2年以上経っているので、やっぱり忙しかったのだろう。
そのRobowの新作セカンドアルバムが発表された。正にファンからすると待ちに待った、待望の一枚である。
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例えば、小生の好きなアルバムにニール・ヤングが1972年に出した「ハーベスト」と、1992年に出した「ハーヴェスト・ムーン」というアルバムがある。もちろん2枚のアルバムの間には20年の間が空いていて、その間、何枚もニール・ヤングの優れたレコードを出している。
ニール・ヤングには20年後に「ハーヴェスト」の続編を作らなければならない理由があったのだろう。ニールが、「ハーベスト」の中で歌ったウェイトレスをしていた女性に、20年後再会して、その落とし前をつける必要があって、彼はしっかりそれを「ハーヴェスト・ムーン」をアンサーアルバムにて、自分の答えを出したのである。

↓ニール・ヤングの名作。1972年発表「Harvest」と20年後に出た「Harvest Moon」
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今回Robowの2年半ぶりの新作セカンドアルバムを聴いて、ふと思い浮かんだのが上記の2枚である。
ニールの20年とは違って、約2年半ぶりの「続編」なのだけれど、ちゃんと1stアルバムへの落とし前がついていて、アンサーになっていて、ニヤリとしてしまう。

前にも書いたけれど、大体、バンドというのは1stアルバムを作るときには手持ちの曲がどっさりとあって、しかもずっとライヴで演奏してきているから、演奏は手慣れていて、録音もスムーズに行く。初めてだから、バンドメンバーが録音の技術に対して未熟なのは当たり前であって、それでも原石を磨いたダイアモンドのようにキラキラと輝くのが1stアルバムである。
しかし、1stが大いに受けて、高い評価を得ると、次に困るのがセカンドアルバムである。1stで自分達がデビュー前からやってきたそれまでの代表作は出し切ってしまっている。

アルバムを出したからには、できたてほやほやの1stアルバムからライブで演奏する事になる。
次の演奏依頼が舞い込む。アルバムの曲をやる。また次の演奏依頼が舞い込む。アルバムの曲をやる。
そのうちセカンドアルバムの制作の時期がやってきて、打診も舞い込む。

こういう風になって、次のアルバムへの準備が遅れていくのである。
曲をじっくり書く時間もないし、書いてもアレンジを詰める時間もない。
スタジオ代だってバカにならないから、そうそうオチオチと長時間入っていられない。
こうやって、2枚目のアルバムは失敗に終わるバンドが多い。

↓2013.11.24発表の1stアルバム。
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そういう意味では、Robowの新作2ndアルバムは見事、そのジンクスを打ち破っている気がする。
彼らは1stを発表した後も、ちゃんと新曲をライヴでこっそりと練り上げて、アレンジを煮詰めて、完成させていただからだろう、きっと。1stアルバム発表前からライブでは、演奏されてきた曲もある。
ちゃんとアルバムコンセプトを見据えて、先を見据えてレコーディングしてきた結果なのである。
そして冒頭に書いたけれど、今回、ちゃんと1stアルバムへの落とし前をつけている。
なんとなく、1stアルバムへのアンサーソングにも聴こえる。

実は事前に、ご厚意でサンプル盤を試聴させていただいて、まず最初に手に取ってじっくりと眺めたのがジャケットである。
ジャケットには4羽の鳥。水色、緑、紫、紅色の鳥が交互に並んでいて、シンプルに「約束の日 Robow」の文字。前回のジャケットがピアノのチェリー森田氏のコミカルな楽しいジャケットだったので、まずここで予想を裏切られる。

↓ 2016.4.10発表 約2年半ぶりのニューアルバム「約束の日」
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内ジャケットを見ると、美しい風景が影絵の様に描かれていて、そこをジャケットの4羽の鳥が飛んでいる。恐らく水色が誠一郎氏、緑色がチェリー氏、紫色がヨッシー氏、そして紅色がキッチュ氏なんだろうな、きっと。
雲がかかっているのか、晴れているのか、昼間なのか、夕方なのか分からないのだけれど、淡い色彩が美しい。

今回はゲストミュージシャンはなく、純粋に4人での録音である。
しかし、小生が聴いて最初に感じたのは「ロック・バンドとしてのRobow」を強く感じたことである。ゲストミュージシャンの力は借りなくても、もう大丈夫なのだ。
まず、ベースとドラム、リズム隊の音が劇的に変わった。
1stは、誠一郎氏の歌をやさしく支える、といった感じだったのだけれど、今回、ミキシングもロック的だし、アレンジも10曲の収録曲中、キッチュ氏のドラムからスタートする、という曲が多いのが象徴的だと思われる。中にはドラムとベースが絡む楽曲もある。これは1stにはなかった。
いよいよRobowの結束が固まって、目指す音が定まってきた気がする。
全員の出すべき音が固まってきたという事なのだろう。各々のプレイが自信に満ち溢れている。

↓ 内ジャケットの4羽の鳥。恐らくRobowのメンバーを描いたもの。
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アルバムはタイトルソングの「約束の日」からスタートする。
1stもそうだったのだけれど、彼らのアルバム構成は非常にアメリカ的で、まずトップにタイトルソング、アルバムコンセプトを持った曲がやってくる。
鳥が描かれているのだから、以前からライヴで歌われてきた名曲「鳥のうた」がコンセプトかな、とも思ったけれど、おそらく、タイトルソング「約束の日」のイメージがジャケットの4羽の鳥だと思われる。
スタートから1stアルバムからの第2章を見せられているような気がする。
誠一郎氏とチェリー氏の共作「ドアの向こう」での「路傍のちっちゃな花に心奪われ」という歌詞が素晴らしい。全国色々、Robow以外のミュージシャンと接してきたRobowの心情が歌われた渾身の一曲である。

チェリー氏単独作の「涙のブースカ」は、彼なりにポール・マッカートニーへ敬意を払った楽曲、という事になるのだろう。間奏のピアノを聴いて、ニヤリとして、大喜びするのは小生だけではあるまい。
大は小を兼ねる、しかし小さい魚は何を食べているのだろう。
無限に続くのだろうな、と勝手な想像をしてしまう。
「鳥のうた」は、いつものRobow、そして小Robowがいつもライヴで演奏しているアレンジで聴いていてホッとする。
ジャマイカ民謡のメロを拝借した「パラダイス」は前向きな誠一郎節が、周りを明るくする象徴的な一曲。ライヴでは、毎回観客が歌って盛り上がるおなじみの曲である。
「人生相談」は、毎日立ち飲みに通っている小生の事かと思って、ドキッとする。
立ち飲みで相談はしないけれど、ちょっと場末でいい感じ、というのに共感したりする。
「リビドー」は何度かライヴで演奏されていて、彼らにしては少し異質な感じな曲だと思ったけれど、今回ちゃんとRobowの音になっていて、おそらく代表曲の一つになるだろう。
エンディングも決まっている。
「悲しみよ さよなら」もファンにはお馴染みの曲。誠一郎氏のおとぼけでコミカルなヴォーカルが歌詞と美しいメロディが化学反応を起こしていて、懐かしい気分になる。
「大きな木」は70年代の匂いを残す、ウッドストックな感触があって、タイトル通り木のぬくもりを感じる。誠一郎氏お得意の、第三者をみて自分の事をフラッシュバックさせて、それで相手に勇気を与える、という手法であって、これがRobowが支持される一つの要因だと思ったりする。
ラストの「ハルノアメ」はおそらくパーソナルな事を歌った歌のように思える。
1stの「レモンの花」へのアンサーソングにも思える。
たくさんの想いが込められた歌なのに、簡単なコードで明るく元気に軽く歌い流しているところがいい。ラストの口笛がすべてを語っているといってもいいだろう。

↓ 全10曲収録。すでにスタンダートナンバーの風格あり。
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全10曲。更に完成度が上がった名作である。
何度も書いたけれど、1stへの落とし前であり、アンサーアルバムでもある。
「僕の車に乗ってくれないか」と誘われた人物はもしかしたら、数年後に「約束の日」に会うことになり、二日酔いで朝「コーヒー」を飲んだ人物は、前日酒場で「人生相談」をして二日酔いになったのかもしれない。そして前回、悲しみが歌われた曲は今回「悲しみよ さよなら」で洗い流されているのである。

これからRobowはどこに行くのだろうか、と考えてみると、とてつもない大きな木になる可能性がある。そこから枝が生えて、色んな出会いがあるのだろう、きっと。

しかし、インナーの歌詞カード裏面の一羽の鳥はメンバーの誰なのだろう?
四羽からはぐれてしまったのだろうか?
気になる。

とりあえず、ファンは「どうせ急がないから、ゆっくりしばらくRobowを見ていこう。」
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# by hirowilbury | 2016-04-10 08:00 | 音楽

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弟子 「師匠、新年あけましておめでとうございます。」

師匠 「ふむ、正月も明けてもう3日も経ってて、少し遅い気もするが、ま、良しとしよう。昨年はポールもやってきたし、まずはその話から入るかのう。」

弟子 「師匠、ポールもなんですが、Robow、4人になって初めてのフルアルバムが遂に出ました。」

師匠 「ほう、ポールを置いといてそちらから入るとは予想外じゃ。ふむ、Robowのアルバムはわしも聴いたが、なんだか今まで出ておらんかったのが不思議な感じじゃが、めでたい。」

弟子 「さすがは師匠、すでにお聞きになっておられるとは。そうなんです。しかし4人になって約2年経つのですが、制作にも約2年、初のフルアルバムです。」

師匠 「つまりオリジナル曲をライヴで試しながら、同時進行でアルバムを仕上げておったという訳じゃな。しかも、ジャケットはピアノのチェリー森田氏が手掛けたとう話じゃ」

弟子 「さすがは師匠、よくご存じで!非常にレトロな感じがRobowのバンドカラーにハマってますね。これはまさに日本のウィングスのホームメイドアルバムじゃ~!」

師匠 「お前は彦麻呂か。で、どうじゃ、内容は。感想を聴こう」

弟子 「はい、流石に満を持して発表しただけの事はある、完成度の高いアルバムになっております。日頃のライヴの成果もばっちりでております。」

師匠 「ふむふむ、日頃のライヴでの勢いも感じるアルバムになっておるな。ライヴで楽曲が原石からダイヤモンドに磨かれていった感じじゃ。やはり日頃からやり慣れておく事は肝心じゃ。」

弟子 「そうなんです、しかも4人の一体感、結束みたいなのがしっかり刻まれていて、音の塊として響いてくるから、いつものライヴ感が失われてなくてしっかり音に刻まれています。」

師匠 「ほう、お主も中々鋭い突っ込みを入れるようになったのう。。たしかに「阪井誠一郎&Robow」という感じではないな。ちゃんとRobowとしての音になっておる。」

弟子 「褒めていただき光栄です。小生もRobowのメンバーと同じく、褒められて成長しますからね~(笑)。ゲストミュージシャンもギターのカオリーニョ藤原さん、トロンボーンで中島 徹さんが参加されていますが、ミキシングもRobowらしいゲストの方を立てたものになってて。ゲストの方々への敬意が感じられるミキシングです。非常にモノラルっぽい録音なんですが、ちゃんとゲストの方々の存在感は際立たせているという・・。すごく音が立体的で
ロックのアルバムっぽくなくて、ジャズに近いミキシングかなあ、と」


師匠 「ふむ。それはRobowメンバーの人柄じゃろう。しかし、全10曲、本当に音の感触がビンテージっぽい柔らかい音になっておるな。昔のモノラルレコードを聴いているような音圧もあって、部分部分で音が歪んでいるのも、非常に好みじゃ。所々にキメで使われているヴォーカルへのエフェクトや「雨の日曜日」でのアルバム唯一といっていいミキシングのパンの遊びも効果的じゃ。適材適所にさり気なく技が使われていて、遊び心が効いておる。」

弟子 「ふむ、さすがお主も鋭いのう」

師匠 「ばかもの!師匠に向かってなんじゃ、その口の利き方は!」

弟子 「ひぇ~すみません、ずっと、会話の文字打ってたらつい間違っちゃって」

師匠 「ばかもの!今日は師匠と弟子の会話という設定じゃ。そう決めた最後までやり遂げるのじゃ!」

弟子 「ははー、申し訳ございません。」
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師匠 「で、収録曲じゃが、このラインナップはRobowファンには馴染みの深いナンバーばかりじゃ」

弟子 「はい、ライヴへ足を運んだ方々にはお馴染みのRobowの音楽図鑑のようなアルバムです」

師匠 「ふむ、1曲目はタイトル曲が来ておるな。いきなり切り札の登場じゃのう」

弟子 「師匠、いきなり切り札、とはRobowのメンバーに失礼です。」

師匠 「いや、アルバムタイトルが1曲目に来るというのはどちらかというとアメリカがよくやる手法じゃ。このアルバムはバンドとしての1stアルバムなのじゃ。ライヴに通っている人はともかく、このアルバムでRobowの音を初めて聞く人もおるのじゃ。そのあたり、掴みとしてはこの曲じゃろ。」

弟子 「さすがは師匠!。鋭い!確かに英国ではこういうアルバム編集はしませんね。」

師匠 「お主は「さらば青春の光」という映画は知っておるか。」

弟子 「あの、ザ・フーの「四重人格」を元に、ピート・タウンジェントの少年時代から大人になるまでを描いた映画ですね」

師匠 「そうじゃ。あの映画は、オープニングで主人公のジミーが海へ向かって自分が乗っているバイクを疾走したまま乗り捨てる場面があるのじゃが、それが終わってから、過去への回想が始まるのじゃ。」

弟子 「つまり、映画の最初にいきなりエンディング部分を持ってきてるという手法ですね。」

師匠 「そうじゃ。わしは、この曲順を観て、真っ先にこの映画のオープニングが頭に浮かんだのじゃ」

弟子 「おお、さすがは師匠。」

師匠 「それとポールマッカートニーのライヴの時も、ビートルズの「The End」をリミックスした楽曲が流れて、ステージが真っ暗になって、ステージ両脇にはヘフナーのベースが電飾でキラキラして、そしてポールが現れたじゃろ。」

弟子 「あ、確かに。そしてアンコールの最後の最後は「Golden Slumber~Carry That Weight~The End」でしたね」

師匠 「さよう。結局オープニングとエンディングの演出は繋がっておったのじゃ。ただポールもそうじゃが、ただの回想にはなっておらん。Robowのこの1曲目というのも前を見ている、未来へ向かっているという意図を感じるのじゃ」

弟子 「さすがは師匠!ポールのライヴ評をアップする時間がなかったから、さりげなく、ポールの来日公演の感想を織り交ぜるとは、さすがです!」

師匠 「うるさい。本当のことを言うのではない!」
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弟子 「しかし、この曲のエンディングがフェイドアウトになっている部分は賛否両論あるようです。」

師匠 「ふむ。たしかに、これもライヴに通った人からすると違和感を感じるかも、じゃのう」

弟子 「そうなんです。最後がリフレインで終わるならともかく、最後はちゃんと異なった決めの歌詞で終わりますからね。」

師匠 「ふむふむ、しかしこれもRobowの音を聴く初めてのリスナーを意識した編集じゃ。曲としては、また未編集バージョンをどこかの機会で発表する機会もあるじゃろ。」

弟子 「そうですね。ライヴでしか聞けないってことにすれば、更にライヴに来る人への楽しみが増えますね」

師匠 「ふむふむ。CDとライヴではヴォーカルの表情が異なるってのもRobowの魅力の一つじゃな。」

弟子 「そして、バックの演奏を奏でるチェリーさんのピアノ、ヨッシーくんのベース、キッチュさんのドラムも安心して聴いてられますね」

師匠 「ふむ。観るたびによくなっておる。全10曲が一つの物語として成立するのも、このアルバムの聴きどころじゃ」

弟子 「師匠、実はわたくし今回のRobowさんのアルバム発売ライヴ、アルバム発売のチラシレイヤーのライナーを担当させていただいたんです」

師匠 「ほう、それは名誉なことじゃ。褒めてつかわすぞ。
それから今年、お主もバンド活動に力を入れるそうじゃのう。」


弟子 「はい、ラピスってバンドを昨年から始めました。路傍が転がり続ける石で、これから更に転がって磨きがかかるとすれば、ラピスはまだ転がりもしてない原石(笑)。みなさんライヴに来てね!」

師匠 「こら、オチが早い!わしを褒めるところがないじゃないか。わしより目立つな!みろ、中途半端にまた一行余っちゃったじゃないか」

弟子 「・・・・・・」

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# by hirowilbury | 2014-01-03 13:34 | 音楽

年末が近づいてくると、ビートルズ周辺が慌ただしくなってくる。
ビートルズはもう存在しないにも関わらず、彼らに纏わる話題でバタバタとするというのは、やっぱり彼らがエヴァーグリーンだからだろう。
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今年10月にはポールの新作が出た。
71歳になっても現役で、しかも世界中を未だに熱狂の渦に巻き込んでしまう、ポール・マッカートニーという人は本当に地球人なのだろうか。

元々ロックというのは若者の音楽だったはずである。
しかし、71歳で未だにロックを奏でて、世界中を熱狂させているというのは、ロックにとっては未知の世界なのであって、ストーンズ共々未知の領域に達している。
そしてそのポールが来日する日々を、心待ちにしている我々ポールフリークはもうアラフォー世代といわれる世代に入った。
このあたり、歳を重ねて外見は大人だけれど、中身は子供みたいなんて言われても、悪い気はしないのである。やっぱり、頭の固い大人にはなりたくない。

そして毎年、11月29日になると、ジョージハリスンの命日がやってくる。
2001年に亡くなってすでに12年が経つのに、今でもジョージは沈黙を保って、どこかでニュー・アルバムをコツコツと制作しているような気さえしてくる。

そして更には12月のジョン・レノンの命日がやってくる。
ジョンに至っては、亡くなってから33年が経つのである。
しかし、世界は未だに世界中のミュージシャンがジョンの追悼コンサートなんかを毎年やっている。

もうこうなってくると彼らの存在は宇宙の北極星のような存在なのではないだろうか。
北極星は動かなくて、某音楽ライターも言っていたけれど、永遠に微動ともせずに輝き続けるのではないかと思われる。

そして、今年も年末になって、ビートルズの「新作」が出た。
昨年はリマスター盤のアナログ盤がちょうど今頃出たのだけれど、今年は1994年に出た英国でのラジオ出演時音源を2枚組CDに収めた「LIVE AT THE BBC」に続く続編、ということになる。
このアルバムは、彼らが1963年から1965年にかけて英国BBC放送に残した音源である。
最初に断わっておくと、こういう類のレコードは、ビートルズのアルバムを全部聴きこんでから聴くのが正しい。
↓英国BBC放送での演奏を収めた「LIVE AT THE BBC Vo.2」。前作からの19年ぶりとなる続編。
音質の向上ぶりが凄まじい。今回、Vol.1もリマスターされたので、限定発売されたセットCDを購入。来月にはこのVol.2の4枚組アナログ盤も届きます(笑)

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↓これは今から19年前に発売された1994年発売「LIVE AT THE BBC」の英国アナログ盤。もちろん今でも大切に聴いています。
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↓当時アルバムよりシングルカットされたBBC音源の「Baby It's You」の4曲入りシングルの英国アナログ盤シングルとマキシCDシングル。他の3曲はアルバム未収録だったけれど、今回「Vol.2」に無事収録。めでたしめでたし。
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↓これは通常の日本盤CD。当時2枚組が4700円もしました(笑)。
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昔から音の悪いビートルズのブートレッグを聴き続けてきたファンにとってはこれでも音が良くなっていて、感動してしまうのだけれど、しかし、今の若い人たちはこれを聴いてどう思うのだろうか。
当時のラジオ音源なので音もよくない。
話題になっているからと手に取って聞いてみると、びっくりしてしまうだろうな。

↓星の数ほど出ていたビートルズのブートレッグ(海賊盤)。この本を頼りにコツコツ集めました。本も読みすぎてぼろぼろになってます。小学5年の時に買った本です。
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↓昔は音質の悪いアナログブートを聴きあさりました。もう30年くらい前に買ったアナログブート達。とりあえず棚からすぐに取り出せた数枚を載せておきます。
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↓その後ブートもCD時代へ。音質が飛躍的に向上。お世話になったBBC音源のブートCD達。
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↓中でもこの2枚は公式盤「BBC」に未収録のものが集められていて便利でした。ジャケットも良い!
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元々ラジオ用に演奏したものなので、本来放送されたら破棄されるものだったのである。
一度演奏されて、そして忘れ去られていくべき音源だったのだ。
しかし、当時から熱心なファンがオープンリールのテープレコーダーなんかに残していた音源なんかも寄せ集めて、そしてBBCの倉庫に残されているテープなんかも集められて、こうやってCDとして発売されてしまって、それに世界中が狂喜するのである。
やはり、ビートルズというのは、北極星なのだろう、きっと。
彼ら自身も50年も後になって、こうやってCDなんていうメディアで自分たちの、たった一度きりの演奏した音源が発売されて、世界中が熱狂するなんて、さすがのビートルズの4人も、当時夢にも思っていなかっただろう。

↓今回の「Vol.2」発売に関して、ラジオ局用に配布されたサンプル盤。ラッキーなことに入手できました。
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こういう風にライヴバンドとして全盛期の彼らのライヴ音源を聴かされると、こちらとしては何も抵抗できない。
ただただ、黙って固唾をのんで聴くしかないのである。

この中で凄まじいのは、やはりジョン・レノンである。
古いブートファンからはお馴染みだったけれど、1963年に演奏した「アイム・トーキング・アバウト・ユー」のジョン・レノンはすさまじい。これも当時のファンがテープに録音していたものが元になっているらしい。
小生も、ラジオのノイズがガリガリビリビリと入った音質のブート音源のジョン・レノンの歌声に、耳を澄ますように、食い入るように聴いてきたのである。
しかし、ここは今の技術なのだろう、素晴らしい音質に蘇っていて、びっくりしてしまった。

このジョンの歌声の前では、ポールも、ジョージも霞んでしまう。
ポール・マッカートニーが、ジョン・レノンの事を兄貴であり、共作するコンビであり、唯一無二の親友であり、喧嘩相手であり、そしてライバルでもあったけれど、ファンの一人であったことは本人も認めているけれど、つまりそういう事なのだろう。
目の前で本人にこういう歌声を聴かされると、ジョンより2つ年下のポール・マッカートニーも、さすがの天下の天才ポール・マッカートニーでさえ、怯んでしまうのではないだろうか。

↓1963年3月16日出演「サタデイ・クラブ」より。BBC音源「I'm Taking About You」。チャックベリーのカヴァー。ジョンの歌声が、凄まじくて泣きそうです。鳥肌が立ちます。
http://www.youtube.com/watch?v=T2OCaOVGVNw

この時、ジョンは22歳である。
すでにこの歳にして、人生を知ってしまって、悟ったような歌声である。
ポールがこの曲のギターとベースのリフを「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」に転用したのはマニアでは有名なのだけれど、しかし、ここでのこの曲は、完全にジョン・レノンの独り舞台である。
こうなると、当時20歳のポールも20歳になるかならないかのジョージもコーラスを入れるどころではなくて、ただただバックで演奏しながら、ジョンの歌声に圧倒されたと思えわれる。
ちょうどBBCに出演していた1965年あたりまでは、やはりジョン・レノンが他の3人を引っ張っていたのだろう。
「Vol.1」の時は「キープ・ユア・ハンズ・オフ・マイ・ベイビー」のジョンにやられたのだけれど、今回もやっぱりジョン・レノンである。

↓これは「Vol.1」に収録されていたキャロル・キング、ジェリー・ゴフィンのカヴァー「KEEP YOUR HANDS OFF MY BABY」
ジョンの歌声が眩しい。

http://www.youtube.com/watch?v=ShSEF8W1rKk
↓これはリトル・エヴァが歌ったオリジナル。リトル・エヴァがキャロル・キングのベビーシッターだった事は有名。
http://www.youtube.com/watch?v=FCUNa_RIIxE


ビートルズのリーダーはジョン・レノンであったことが、改めて感じることのできる音源である。
そうなのだ、ビートルズはジョン・レノンのバンドだったのである。
だから、解散後ポール・マッカートニーは頑なにビートルズを避けてきたのである。
それを「君はビートルズだったんだ」とポールに助言したエルヴィス・コステロは、ポールにとっては恩人なのだろう。ポールからビートルズを取り上げてしまうと、ポールではなくなるのだから。
そのあたり、ポールという人はああ見えて頑固だからね。

ここでのポール、ジョージ、リンゴの歌声は、当然ながら若々しくて爽やかな感じだけれど、ジョン・レノンだけは違う。
人生をかけているような歌声が全編を覆っていて、さすがにこちらも聴いていると背筋がピンとなる。
こういうジョン・レノンの歌声に、我々はやられたのである。凄まじい。

内容は1994年に「Live At The BBC」として発売されたものから、漏れたものが中心になっている。
しかし、前回漏れたものであっても、ジョンの歌声、そしてポール、ジョージ、リンゴの歌声は北極星なのであって、いつになっても輝きが失われていない。
中には前回収められたヴァージョンよりも、素晴らしいものもゴロゴロ入っている。

よく知られているようにBBCでの出演時は、レコードには収録しなかった曲が多く演奏された。
殆どがカバー曲なのだけれど、こうやって聞くとやはり彼らはロックンロールバンドだったのだと再確認させられる。
本来、新作の宣伝の出演なのだろうけど、新作は宣伝しなくても売れる、という自信がみなぎっているようにも聞こえる。新曲を演奏しなくても、ファンは自然と新作が欲しくなってしまうだろうな、こんな演奏や歌声を聴かされたら。
ビートルズは世界中の正しい若者たちの正義のヒーローだったのだから。

こうなったら、あの「ライヴ・アット・ハリウッドボウル」もちゃんとCD化していただきたい。
現在のところ、公式にちゃんとライヴ・バンドとしてのビートルズを体感できるのは、アンソロジーの一部と、このBBCライヴだけである。
アップルの偉い方に会えるならば、そのあたり「早く出してもらわないと困ります!」と親切丁寧、かつ下からペコペコとお願いしたい(笑)。

「Live AT The BBC Vol.2」は、ジャケット写真が1963年のパリで撮影されたものなのに、カラーというのが、個人的にはうれしい。
ビートルズというのはモノクロームが良く似合うけれど、このカラー写真は素敵だな。
その美しい4人の写真の中で、ポールが小脇に抱えているシングルレコード盤は、誰のなんていうレコードなのだろうか。
気になってしょうがない。
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↓「Live At BBC Vol.2」発売プロモーション用フィルム
http://www.youtube.com/watch?v=RkPZH4MYCKM
# by hirowilbury | 2013-11-09 08:00 | ビートルズ

毎年のことなのだけれど、この時期になると世間はクリスマスの色が濃くなる。
元々クリスマスというのは、イエス・キリストの誕生日をお祝いする日であって、世間でどれほどの人が誕生日のお祝いをしているのだろう。
よくわからないけれど。
小生も、クリスマスが近づくと、意味もなくワクワクしてしまう。
小さいころの楽しみは、誕生日と、そしてクリスマスだった。単純にプレゼントが貰える唯一の日だったから、ということなのだろう、きっと。
あと、デパートなんかに行くと、この時期ツリーとかが装飾されていて、BGMもクリスマスソングが流れてワクワクしてしまう。

普通小学生の子供が欲しがるものとしては、普通おもちゃである。
しかし、小生は小学校に入学するまでは、ずっとレコードをお願いしていた(笑)
ずっと、シングルレコードだったのだけれど、小学2年の時に初めてサンタクロースにLPレコードを貰った。
それが「BEATLES 1962-1966」、いわゆる「赤盤」と呼ばれている2枚組のベストアルバム。
しかも、この時の盤が通称通り赤色であって、さすがはサンタさん、センスが違うと唸ったものである(笑)
今考えると、当時「ビートルズ結成20周年記念盤 限定カラーレコード」ってやつだったのね(笑)。
ちなみに、このアルバムを繰り返し繰り返し聞いたので、このアルバムの曲順が未だに板についてしまっていて、これではいけないな、と思ったりもする。
↓我が家には1962-1966のセットが7セットほどありますが(笑)、これは初めて買ってもらった彼らのLP
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毎年、小生は必ず1枚クリスマスのアルバムを買うようにしている。
これはサンタクロースのプレゼントが来なくなった、小学5年くらいからなので、もうすでに30年近く毎年1枚購入していることになる。数えてみると、クリスマスのレコードやCDだけでも30~40枚はあった。
小生は基本的に、クリスマスアルバムというのが好きなのだろう、きっと。
家族団らんで聴いて楽しく過ごす、というのに昔から憧れていた、というのもあるのだろう。
我が家はそういうのが、なかったからね。
↓いろいろあるけれど、アナログで毎年よく聞くのがこの2枚かな。
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今まで、色んなクリスマスのレコードやCDを買ったけれど、今でも一番好きなのは、ヴェンチャーズのクリスマスレコードだったりする。すべてインストなんだけれど、これが良い。昔親父がヴェンチャーズのレコードを結構持っていて、それを良く聞いていたからだろう、きっと。



ニック・ロウの2年ぶりの新作は、なんとクリスマスアルバムである。
ニック・ロウを知らない人のために説明しておくと、1949年生まれ。今年で64歳である。
↓ニック先生の新作は「QUALITY STREET」と題したクリスマス・アルバム
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元々キッピントン・ロッジ、そしてブリンズレー・シュウォーツを率いていたのだけれど、解散後あの英国のスティッフ・レコードのハウス・プロデューサーとして、エルヴィス・コステロのデビュー・アルバムなんかもプロデュースしていた。
もちろん自身のソロ活動も活発に行って、デイヴ・エドモンズと組んだロック・パイルの「セカンド・オブ・プレジャー」などは未だに小生の10本の指に入る名盤である。
ここでは詳しくは控えるけれど、とにかく正しいロック・ミュージシャンなのである。
ロックの好きな人は、こういう音をきかなきゃいかんよ、青少年諸君。
↓キッピン・ロッジの貴重な音源を集めたCD
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↓ブリンズレー・シュウォーツの名作「ドント・エヴァー・チェンジ」とベスト盤CD。
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↓ロック・パイル唯一のオリジナルアルバム「セカンド・オブ・プレレジャー」と最近発掘された彼らのライヴ音源。この2枚は宝物なのね。
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クリスマスアルバムを録音しようと思ったきっかけが何なのか、ニック爺には直接聞いてみたいのだけれど、今度のブルーノートのライヴもいけないし、また日本酒をお土産に質問することにしよう(笑)

全部で12曲入っているけれど、殆どが昔からのスタンダートナンバーのカヴァーであって、そのあたり、ニックのアレンジが渋くて、こちらも渋柿を食べた時みたいに、こちらも渋い顔になってしまう。
オリジナル曲もやっているけれど、やはり素敵なニック節になっていて、渋柿を食べた顔も、干し柿くらいの顔に微笑んでしまう。
中にはロン・セクスミスが彼にプレゼントした曲も入っていて、このあたり、甘柿くらい顔がほころんでしまう。
サンバ調の「サイレント・ナイト」のニックに惚れ惚れしていると、いきなり、「ア・ダラー・ショート・オブ・ハッピー」なんていう、ライ・クーダーとの超渋いオリジナルソングが出てきて、身が引き締まってしまう。

基本的には、良き時代の英国でのクリスマスがテーマになっていると思われる。
ジャケットからして、大家族だけれど、クリスマスはみんなで楽しもう、の雰囲気が出てるし。
ラストのロイ・ウッドの「アイ・ウィシュ・イット・クッド・ビー・クリスマス・エヴリデイ」は素敵だな。
このあたり、こちらが構えるとサッと身をかわして、こちらが気を許すと付け込んでくる、キンクスのレイ・デイヴィスに近いカッコよさを感じるな。

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前作の「ジ・オールド・マジック」もそうだったけれど、いや、90年代の彼のアルバムはすべてこういう音であって、何かのインタビューで「もう音楽業界は嫌い。だから自分の音だけを追求していく」なんてコメントがあったような覚えがある。90年代の初期だったと思うのだけれど。
↓前作「ジ・オールド・マジック」。CDの他にアナログ盤も買っちゃった(笑)。このアナログ盤、LPなのに45回転だから、音がいいのね。
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ニックがこんなに枯れた音を出すようになったのはいつからだろう、と考えてみると、あの「パーティ・オブ・ワン」あたりからかな、やっぱり。ライ・クーダーとか、ジョン・ハイアットなんかとつるみ出してきてからだと思うのだけれど、80年代のあのニックのお茶目で、素敵なロックンロールを奏でていた音を知っている人が聞いたら、びっくりしてしまうだろう、きっと。
もちろん、今のニック爺もおしゃれで、素敵で、カッコいい。
↓ニックの名作たち。しかし、現在ほとんど廃盤で残念。早く再発してね。また買うから(笑)
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しかし、なんか、そのあたりから急にニックが老けた様な気がしているのは小生だけかな。
音と同時に、様相も枯れてきた、ということなのだろうか。
個人的には、ポール・マッカートニーにこういう音をやってほしいのだけれどね。
しかし、ポールに老けられてしまうと困ってしまうので、ここは老けついでにニック先生に、この道を極めていただこう(笑)
↓アルバムのインナーより。三國連太郎さんじゃありませんよ(笑)
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今まで何度も書いてきたけれど、小生にとってニック・ロウという人は、ジョンやポール、そしてニール・ヤングと同じくらい大切なミュージシャンであって、これからもこういう風に「あ、遠い国だけれど元気にやってますよ」という風に、何年か1度アルバムを届けてくれたら満足である。
↓近年1stと2ndアルバムのリマスター盤が出て、狂喜乱舞しました。やっぱりアナログ盤も買っちゃった(笑)
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↓これはレコード棚にあったニック先生のアナログ盤。「ニック・ザ・ナイフ」は今でも愛聴盤。ベスト盤「ニックズ・ナック」はジャケットかっこよすぎ!
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↓今年はいけないけど、また日本に来てね、ニック先生。
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クリスマスアルバムとは言っても、立派に十分オリジナル・アルバムとして聴けるので、当分通勤の時の愛聴盤になるだろう、きっと。

しかし、ニック爺、かっこいいな。
ああ、ニックちゃん、好きよ。
# by hirowilbury | 2013-11-02 21:00 | 音楽

毎日の日課になっているのが、仕事帰りに一杯飲むことである。
以前は、必ず誰かに誘われたり、時には時間のある人にこちらから声をかけて、必ず複数で飲みに行っていたのだけれど、最近はそうではなくて一人で行くことが多い。

元々大勢の人と団体行動はあまり好きなほうではないので、多くても2、3人くらいで飲みに行く方が好きであって、だから、一人でも全く苦にならないのね。
気心の知れた人と2、3人で行くのが全く持ってベストだけれどね。

よく入ったことのない居酒屋とか立ち飲みには一人では入れない、知ってる人もいないから、なんていう人がいるけれど、入れば楽しいのである。
それに、店の中が知っている人ばかりであれば、飲みに行かないよ、小生は(笑)。

当たり前だけれど、知らない人が圧倒的であって、そこで知らない人に声をかけられたりするのが楽しい。
名前も住んでるところも、もちろん歳だってわからない。
たまに性別すらわからないひとだっているから困るんだけど(笑)

仕事が終わる、「ああ、やっと自由だ」なんて思いながら、電車に乗って途中下車して、特に行く店も決めず繁華街を歩く。そしてほとんどセットになっているのが、CD屋を覗くことである。
もちろん必ず買う、といことはないけれど、でもウロウロして陳列されているCDや雑誌や、グッズを眺めてみるだけでもいい。
そこで気になるCDがあれば購入して、居酒屋や立ち飲みに行って、ブックレットを見たりて、楽しんでいる。
それが楽しみの一つである。

ポールマッカートニーの来日が決まって約5か月。
ようやく11/12の大阪会場も京セラドームに決まって、チケットも届いた。
おそらく今までで一番いい席が取れた、万歳万歳を三唱していたら、11/11に追加公演が急遽決まってびっくりしてしまった。

本当は今回、東京、福岡、すべての公演を追っかけてやろうと思っていたのだけれど、さすがに仕事の都合で断念せざる終えなくて、大阪公演のチケット取得にすべてをかけたのである。
とりあえず、11日にウォームアップしていただいて、12日本領発揮していただこうじゃないか、ポール爺さんに(笑)。
11日にはグッズを買いに行って、12日はゆっくり公演の観戦に専念することにしよう。

↓ポールの新作「NEW」。日本盤は世界最高の4ボーナストラック入り全16曲。
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ポール6年ぶりのニューアルバム「NEW」を聴いていると、ポールマッカートニーという人は、一人で飲みに行ったりしない人なんだろうなあ、と勝手に想像してしまった。
有名人だから本当にピンで行くなんてないだろうけれど、もし一人でいける環境であっても行くのだろうか、行かないのだろうか。
おそらく、「行かない」だろう。
多くに人に囲まれて、新しい要素を吸収して作品を生み出していく人なので、そういう事は頭にはないのではないだろう。
一緒に飲みに行った人の友人を通じて、さらに友人を増やしていくタイプなのかな。
聴きながら、そんなことを思ったりした。

↓ちゃっかりいただいた新作宣伝用パンフ。3枚もらいました(笑)
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↓チラシ裏面は現在入手できるポールのアルバムたち。早く過去の名作も再発してね、ポールちゃん。
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6年ぶりの新作と言っても、2011年に昔のスタンダートナンバーをカバーした「KISSES ON THE BOTTOM」を発売したり、そのライヴ映像を出したり、そして過去の作品のボックスセットなんかの発売もあったから、久しぶりな感じはしない。
このニューアルバムを聴いていると、「過去の僕の作品はそれで振り返ってくれればいい。でも新作は新しい事を自由にやるから」というポールの声が聞こえてきそうな作品になっている。
ある時期は遠くへ行った友達から「元気にしてるで」といった手紙のような感じでアルバムを届けてくれたらそれで十分だと思っていたので、こうやって早い手紙のレスポンスはやっぱりうれしい。
ポールの歌声が聞こえてくるだけで、笛や太鼓を持って走り回りたくなるくらい、嬉しいのだから、我々ポールファンは。

↓ブックレットより。
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初めてニューアルバムを聞いたときの印象は1986年の「PRESS TO PLAY」である。
ポールが自ら「あれは失敗作だった」と語る、暗黒時代のポール、と呼ばれる時代のアルバムである。
最近のポールの音つくりの傾向からしてある程度の内容は予想できたのだけれど、これはポールのアルバムの中でも「辛口スパイス」の利いた一枚なのではないだろうか。
↓1986年発表「PRESS TO PLAY」。当時は失敗作のレッテルを貼られて、ポール本人も認めた。
だけど、それは「世間一般に比べて」完成度は高水準。ただし、少しいじくりすぎたかな・・。
ジャケットはジョンの「ダブル・ファンタジー」を意識した?(笑)
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しかし、あの時と圧倒的に違っているのは「ポールの周囲にいる人間のポールに対する接し方」である。
あの時は「ポール・マッカートニーという王様」を知っている人間が制作に携わっていて、ポールが絶対に王様だったのである。
ポールがこう言えば、周りはそうする。
ポールが違うといえば、周りもそれに同意する。
もちろん、今でもポールはキングなのだけれど、しかし、当時のポールは周りを寄せ付けないくらいの神格化された感じがあって周りはイエスマンばかりだった。
だから僕はそうではなくて一人の人間なんだ、という意味を込めて地下鉄なんかで一般市民と触れ合っている風景を収めた「PRESS」のクリップを撮ったりしたのだろう。これは小生の勝手な想像だけれど。

↓1986年「PRESS TO PLAY」からの先行シングル。中学生だった当時は、予約して買いました。名曲なんですけど、中年太りしたポールのPV見て苦笑いした記憶が(笑)
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↓あれ、写真が横向いてる・・横向いてみてください(笑)
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今回、若いプロデューサー4人と組んでいて、おそらくポールの作品に対してもかなり口を出しているように思える。
そしてポール自身、それを望んでいるようにも思える。
そしてそれを心底楽しんでいるようにも見える。

昔からポールは共作とか、共同プロデューサーってのを好む人なので意外ではないのだけど、2000年代に入ってその色が濃くなってきて、そして一緒に仕事をした人は、口をそろえて「ポールとの仕事は素晴らしかった。ポールは素晴らしい人」という。
ビートルズアンソロジーが出る前の、ポールに対する周りのミュージシャンのイメージは違ってきているように思える。要するに、当時は周りが勝手にポールを手の届かない神様だと勘違いして、神格化していたのだろう、きっと。
勝手に、周りが何もポールに対して何も言わなかった、そして言えなかったのである。

ポールという人は元々そうではないのだけれどね。
そんなポールの神的な扱いに一石を投じたのがエルヴィス・コステロだったことは、ポールファンならば誰もが知っている。

↓1989年「FLOWERS IN THE DIRT」からの1stシングル「MY BRAVE FACE」。エルヴィス・コステロとの共作。これでポールは息を吹き返しました。高校生だった小生が涙した1枚。
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今回音の作り方にしても4人のプロデューサーの色が4人4色に出ている。つまりそういうことなのであろう。
ポールが4人のプロデューサーの色に自分の身を任せたのである。

アルバムは12曲収録で、日本盤が世界で一番ボーナストラックを含む16曲入り。
「セイヴ・アス」は80年代のカッコいいポールの典型的なロックンロール。ポール・エプワースとの共作。
アデルのプロデューサーのポール・エプワースとは、その他にも3曲も共作しているし、そのすべてが80年代のポールの良質な部分を再構築した現代のロックンロールである。

↓ブックレットより
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「オン・マイ・ウェイ・トゥ・ワーク」は僕らが知っているメロディアスでリズミカルなポール・マッカートニーである。
これはかのジョージ・マーティンの息子ジャイルズがプロデュース。このあたり、彼の幼いころからポールおじさんを知っている、彼に対するイメージなのだろう。
少しアジアっぽい間奏も入っているけれど、しっかり土台がアコースティックギターで出来ている曲である。
「アイ・キャント・ベッド」は「オンリー・ママ・ノウズ」みたいなリフと「バンド・オン・ザ・ラン」の様な頼りないシンセの音が入って、サビの部分はまるで「ゲット・バック」であるところが微笑ましい。
このあたり、プロデューサーが客観的にポールを見ているから出来る、ポールの過去のパロディである。

イーサン・ジョーンズはなんと、かの名プロデューサー、グリン・ジョーンズの息子である。
ビートルズの幻のアルバム「ゲット・バック」をプロデュースしながら、没にされてしまった親父の敵討ちなのだろうか?非常にポールらしい音に仕上げていて、昔からのポールファンであれば、4人のプロデューサーの中では、彼との相性が一番と感じるのでは?と思われる。
「ホザンナ」はポールらしい、アコースティックな切なさが出ていて、素晴らしい。
ボーナストラック扱いだけれど、「ターンド・アウト」は我々が知っているポップでキャッチーなポール・マッカートニーである。少しE.L.Oっぽい曲なのだけれど。

そしてシングル「NEW」もプロデュースしたマーク・ロンソンは自らポールにプロデューサーを名乗り出た人物であって、先行シングル「NEW」も世間が知っている、我々が大好きなポール・マッカートニーである。
最初にこの曲を聴いたとき、本当に涙がチョチョギレるほど、感動した。
おそらくポールはササッと仕上げた曲なのだろう。しかし、世間はそういうインスタントなポールマッカートニーを愛しているのである。
↓ブックレットより
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全体的にポールの声がノイジーに処理されていたり、音つくりが打ち込み多様でまるでファイアーマンみたいになっているところもあるけれど、やっぱり、当たり前だけれどポールの声なので安心する。
ポール・マッカートニーのアルバムを聴いていて、ポール・マッカートニーの声が聞こえてきて安心するのも変だけど(笑)

↓さて、ポール祭りでも開始しようかな(笑)
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さて、ポールが来日する。
おそらく今回が本当に最後の来日になるかもしれない。
この日はだれに何を言われても、仕事は切り上げて、会場に向かう。
この日はそっとしておいてね(笑)

ポールは行く居酒屋を決めてから行くのかな?なんて思いながら、おそらく小生と同じで決めずに行く人なのだろう、きっと。しかし、徹底的に違うのは、大勢の人と行くんだろうな、と思いながらニュー・アルバムを聴いた。
そしてもし、日本の居酒屋でポールが一人で飲んでいる姿を見たら、小生は間違いなくこう声をかけるだろう。
「I‘ve Been Waiting For You Babe、Paul」
# by hirowilbury | 2013-10-20 18:01 | ビートルズ